コラム調達コスト削減のためのポイント②
全社一丸となった「攻め」と「守り」の交渉力

前回の①のコラムでは、間接材についての調達コスト削減を成功させるための第一、第二のポイントとして、「相手を知る」「己を知る」をご紹介しました。

そして今回は、第三の成功ポイントである、全社一丸となった「攻めと守りの交渉力」についてご紹介します。

成功ポイント3「全社一丸となった交渉」

調達コスト削減の成功ポイントの3つ目は「全社一丸となった交渉」です。

第一、第二の成功ポイントである「相手を知り己を知った」後、次はいよいよ交渉フェーズに入ります。サプライヤーとの交渉において成果をあげるために欠かせないのは、相手を本気にさせ、自社のバーゲニングパワー(交渉力)を最大限発揮することです。その際に重要になるのが「全社一丸となった交渉」です。

これには大きく2つの側面があります。

全社一丸となった「攻め」

1つ目は、全社一丸となった「攻め」です。一般に、相見積もりによりサプライヤーに火をつけることができ、本気にさせることが行われています。もちろん、相見積もりは有効ですが、これだけでは十分ではありません。全社をあげて攻めることが必要なのです。

例えば、相見積もりをとってもなかなか間接コスト削減の成果が出ず、調べたところ、サプライヤー側の意思決定者にきちんと情報が伝わっていなかった、などというケースは少なくありません。この場合、交渉の席に自社の役職者がついているとサプライヤーに示すことで、相手の意思決定者を交渉に巻き込みます。

このように、ただ担当者が交渉するのではなく、全社一丸となって交渉に臨む姿勢を示すことが重要です。

全社一丸となった「守り」

「攻め」だけでなく、全社一丸となった「守り」も重要です。

例えば、次のようなケースはよくあります。価格交渉を迫られたサプライヤーが、営業取引を武器に、営業部門経由で価格交渉への圧力をかけてくるといったことです。また、時には自社の経営トップとサプライヤーの誰かが関係がある場合もありますが、その関係を活かして経営トップに泣きついてくるといったケースもあります。

このようなケースに対しては、経営トップから営業、そして現場の最前線の購買担当者まで、組織全体の人員の意識や言動を一枚岩にまとめておかないと、守りが甘くなり、こちらからの交渉は中途半端に終わってしまいます。

実際の交渉の場面においては、「攻め」と「守り」の両面において全社一丸となった交渉を徹底できるかが、間接コスト削減の成否を左右します。

まとめ

これまで2回に渡って、「コスト削減」として短期間に大幅な削減を見込みやすい材である「間接材」についてのコスト削減における成功ポイントを3つお伝えしてきました。

コスト削減の中でも、調達費のコスト削減は、この低成長時代を勝ち抜いていくために取り組みやすい対象といえます。

そもそもなぜ間接材は大幅なコスト削減が見込みやすいのでしょうか。それは、企業が外部から調達している材である製造原材料、つまり「直接材」は、専門の購買部門により、すでに長年にわたってコスト削減に取り組んできているケースが多いためです。

これに対し間接材では、コストを統括的に管理している専門部門が存在せず、馴れ合いや、いわゆる聖域が生じているケースなどもあります。

聖域とは、取引が聖域化し、調達価格が割高なまま放置されがちになる領域ということです。例えば営業部門が直接取引する場合はほとんど言い値で調達していたり、子会社を通じて間接材を調達していたりする場合によく見られます。

また間接材は、コスト削減にあたり、直接材にみられるような複雑な設計仕様の見直しが必要ないことも多いです。こうしたことから、一般に間接材のコスト削減は、直接材に比べて短期間で大きな成果を出せる可能性があるのです。

成功のポイントは、「相手を知る」「己を知る」「全社一丸となった攻めと守りの交渉」の3つです。間接材については、一度調達コストの見直しを行い、この3つのポイントを押さえて取り組む価値があります。

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